三重の小さな三セク・伊勢鉄道 Part1

こんにちは。
ちょっと前に暖かい南風「春一番」が吹き荒れましたね。てっきりぽかぽか陽気になるかと思っていましたが、そう信じた自分がバカでした笑 危うく本気で道端の畑へダイブしてしまうところでしたよ…

とやかく本題へ。
前々から紹介したかった事を忘れてました。

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イセⅢ形
こんな写真しかなかった笑

はいこちら伊勢鉄道が所有する軽快気動車「イセⅢ形」です。伊勢鉄道ユーザーからしたら腐るほど見たことある車両ですし、実際僕も何回見たのやら…という感じです。

皆さんは、この東海地区の方々でさえ分からなさそうな「伊勢鉄道」をご存知でしょうか。今回から伊勢の国でひっそりと走る、伊勢鉄道についてご紹介します。

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亀山 駅名標
最近、駅前整備を始めたそうです笑

「三セク」と言えば大方察すると思いますが、元は国鉄の非電化路線でした。

名古屋方面から伊勢方面へ抜ける際、純粋に関西本線紀勢本線だけ、つまり亀山経由で行くと時間も費用も掛かってしまいます。そこで、ちょうど伊勢湾から離れる間際の四日市と津を結ぶ短絡線として1973年に「国鉄伊勢線」が誕生したわけです。

また、伊勢線周辺の工業開発計画の一案として、1962年には伊勢線から分岐して臨港へ向かう「南伊勢線」の計画もありました。

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後述の「くろしお」「紀州」の後身

が、実際に開業してみるとそう上手くはいきません。この開業した頃はちょうど「四日市ぜんそく」が収束した時期で、再発を恐れた住民が沿線工業化に対し猛反対。オイルショックも重なってしまい「南伊勢線」の建設は凍結してしまいました。

そして猛反対の矛先は伊勢線にも向けられ、

開業時の運転状況
特急「くろしお」:1往復
急行「紀州」:3往復
普通電車:7往復

のっけからこの少なさ。しかも当時走っていた貨物列車でさえ亀山経由での運転を続けたのですから、この時期の伊勢線は相当煙たがれていたのでしょう。

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12200系
国鉄伊勢線開業を知る近鉄車両の1つ

さらに並行して既に近鉄名古屋線が走っており、

名古屋線の伊勢線開業時の運転状況
特急:44往復
急行:34往復
準急:9往復
普通電車:62往復

この圧倒的違いです。途中伊勢線が通る鈴鹿でも近鉄鈴鹿線が存在していたため、鈴鹿へ行こうにも伊勢線は全く利用されなかったとか。

この差も相まってか、開業10年後の1983年には100円稼ぐのに(営業係数)646円が必要な超赤字路線になってしまいました。

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211系
あちこちで何かと元気な国鉄

そんな哀れな伊勢線をいつまでも持つわけにはいかず、1980年の国鉄再建法(国鉄が経営を立て直そうと考え出した法律)を経て1986年に第三セクター化が決定したのです。JR発足(1987年4月1日)より少し先の1987年3月27日、「伊勢鉄道」として新たなスタートを切りました。

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事情はJR西日本も共感?

何故こんな運命になったのか。
鉄道ライター・植村氏は「利用者を馬鹿にしていた」、鉄道アナリスト・川島氏は「国鉄の消極的経営」に問題があったとそれぞれ指摘しています。国鉄時代に「この路線、ぜんぜん客乗らんから三セクorバスな」という感じで特定地方交通線(通常路線より扱いが雑な路線)を作りすぎた結果だということですね。

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以上が伊勢鉄道誕生の経緯です。
なかなか波乱万丈な人(?)生でしたな… それでも「快速みえ」「特急南紀」などが乗り入れて伊勢方面や南紀方面への大事な足として日々頑張っている伊勢鉄道。次回はどちらかいうとダイヤ・設備面についてお伝えします。

それではこの辺で。
ありがとうございました。